民法解説
第1 出題趣旨 1 ①錯誤・詐欺,②保証,③債権譲渡についての理解を深める。 2 複雑な事実関係を整理した上,問題点に気づける能力を養う。 第2 解説(設問1) 1 問題状況 ⑴ 前提 CはAとの間でBの債務につき,保証契約を締結している。 ⇒CはAから保証…
債権者代位権(民法四二三条)とは,債権者が債務者に属する権利を行使する権利のことをいう。これ は,本来的には金銭債権者が債務者の責任財産を保全するための手段と考えられており,債権者が,債 務者の有する金銭債権を代位行使するような場合がこれに当…
一 手附の意義及び種類 手附の意義 手附とは,契約に際し当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物である。要物 契約であり,他の契約に附随して締結されるから従たる契約である。 手附の種類 (イ) 証約手附 契約締結の証拠として授受さ…
一 緒論 このように,制度やある概念について一般的に述べよと問う問題では,関連することがいくらでもあ るので,何をどれだけ書くかの取捨選択に悩まれると思う。そこで,書くべきことを選ぶための視点を 考えながら解説を試みたい。 まず書くべきこととし…
Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…
Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…
Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…
Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…
権利能力 定義 権利能力の始期 権利能力 定義 私法上の権利及び義務の帰属主体となりうる地位または資格を権利能力と言う。したがって,権利能力は同時に義務能力でもある。 「私権の享有は出生に始まる」という規定(一条の三)は,自然人は出生によって当然…
甲は,乙から昭和54年月日金一〇〇万円を,利息年三割,弁済期同年12月31日の約 定で借り受け,一年分の利息として金三〇万円を天引きされ,金七〇万円を受領したが,期限に 返済できず,昭和 55 年 12 月 31 日に金一〇〇万円を支払った。 この場合の甲・乙…
Aは,昭和 45 年6月1日から現在に至るまで,B所有のX地を,所有の意思をもって平穏 かつ公然に占有しており,その占有の始め善意でかつ過失がなかった。一方,Bは,昭和 55 年 7月1日,X地について,何らその事実がないのに売買予約を原因として勝手にC名義…
目次 不真正連帯債務とは 不真正連帯債務のよくある例 不真正連帯債務と連帯債務の違い 不真正連帯債務の効果 不真正連帯債務とは 多数主体の債務関係として,債務者全員が,債権者に対して債務全額について責任を負う連帯債務のうちで,債務者相互の関係に…
多額の債務を負担している甲は,強制執行を免れるため,ほとんど唯一の資産ともいうべき 所有土地をいとこの乙に売り渡す契約を結び,その所有権移転登記を済ませた。甲乙間の売買に 先立ち同じ土地を甲から買い受ける契約を結んでいた丙は,いかなる法的構…
代理人 使者 基本的な差異 法律上の問題点 まとめ 代理人 本人のためにすることを示して(顕名),相手方との間で自ら意思表示をして,その法律効果をことごとく直接本人に帰属させる者である。 使者 本人が既に決定済みの意思表示を相手に伝える者であり,そ…
甲と乙は,丙から共同で A 土地を買い受け,各二分の一の持分で共有していたところ,甲 は,A 土地につき,乙に無断で自己への単独名義の所有権移転登記をした上,その直後に,これ を丁に対し一〇〇〇万円で売却し,丁への所有権移転登記をしてしまった。 …
A は,叔父 B との間で,A が一流会社に就職したら,B 所有の甲建物を A に贈与する旨の契約 をし,甲建物について所有権移転請求権保全の仮登記を経由した。ところが,右の仮登記は登記 官の過誤により抹消されたため,B はこれを奇貨として,甲建物を事情…
甲と乙は,平成4年3月1日,甲が乙に甲所有の絵画「白山」を,代金一〇〇万円,同年 4月1日に乙方で代金と引換えに引き渡すとの約定で売る旨の合意をした。次の各場合において, 甲がこの売買契約を解除するにはどのようにしたらよいか。(1) 同年4月1日,甲が…
例題 他人の物の売買契約における売主と買主の間の法律関係について説明せよ。 一はじめに いわゆる一行問題については,まず原則ないし基本的法律関係はどうであるかを論じた後,そこから発展ないしは派生する問題点へと議論を進めることが肝要である。基本…
例題 物権変動における公示の原則と公信の原則について比較して説明せよ。 一 物権の公示の必要性 物権は,その客体から権利者の自由な意思で一定の収益を収めることができる権利(支配権)であるから,同一の物の上に同一内容の物権は両立しえず,当然に排他…
一 求償権の規定の趣旨 使用者と被用者との間には,通常,雇傭契約その他の契約関係が存在する。被用者が,使用者の事業 の執行について,故意または過失によって第三者に損害を与える行為は,一般的には,被用者としての 使用者に対する善管注意義務に違反…
一 仲介者 仲介者とは,本人と相手方の間に立って,本人のために自ら意思表示をし,または,本人の内心の効果意思を相手方に表示し,もしくは,本人の完成した意思表示を相手方に伝える者である。第一の場合は通常代理人(民法九九条)であり,第二は表示機関…
問 特定物売買契約において,その契約締結後に,売主の債務の全部または一部が履行不能となった場合の当事者間の法律関係について説明せよ。 一 はじめに 特定物の売買契約締結後に,売主の債務が履行不能となった場合の当事者間の法律関係については, その…
甲(満一八歳)は,法定代理人乙の同意を得ないまま,自己所有の A 土地を丙に売却するとともに丙への所有権移転登記をすませたが,後日そのことを知つた乙は,丙に対し,甲丙間の右売買契約を取り消す旨の意思表示をした。ところが,丙は,右取消の意思表示を…
一 各概念の意義 1 権利能力 (1) 定義 私法上の権利及び義務の帰属主体となりうる地位または資格を権利能力と言う。したがって,権利能力は同時に義務能力でもある。 「私権の享有は出生に始まる」という規定(一条の三)は,自然人は出生によって当然に法人格…
問 Aは,自己所有の甲建物を時価相当の1000万円でBに売却し,その代金を受領したが, 甲建物売却を聞き付けたCから懇請され,甲建物をCに贈与し,Cに対する所有権移転登記手続 を了した。ところが,その後Aに恨みをもつDは,甲建物に放火し,甲建物を全焼さ…
一 「契約締結上の過失」理論 特定の家屋の売買契約が締結された前日に,その家屋が焼失していた場合を考えてみる。既に焼失した建物の売買契約は原始的不能によって無効とされる。しかし,建物が現存すると信じた買主は,これによって契約費用等の損害を受…
第一問 甲は,自分の所有する土地をAに売却し,代金も受領していたが,その登記名義はまだ甲 に残っておりAには移転していなかった。そのことを知った甲の友人乙は,この土地をさらにだ れかに売却させてその代金を自分に融資してもらおうと考え,甲にその旨…
第一問 Xは,A所有の甲土地を,昭和 51 年3月3日から,所有の意思を持って,平穏かつ公然, 善意無過失で占有していたところ,AはYに対し,昭和 62 年5月5日,甲土地を売り渡し,そ の所有権移転登記を経由した。XはYに対し,昭和 53 年3月3日から占有してい…
一 概説 1動産の即時取得(民法一九二条)は,所有権のない者からでも所有権などを取得することを可能にする制度であり,取引の安全を確保する役割をもつ。 まず,所有権の取得を例にとって,この制度の意味を述べよう。 所有権を取得するには,大雑把にいって…
第一問 XとYは,XがYにビール一〇〇ケースを売り渡す旨合意した。Xは,ビール一〇〇ケー スを仕入れ,約定の履行期に,これをY方に持参し,Yに対してその受領を促したところ,Yは, 故なく受領を拒絶し,代金も支払わなかった。そこで,Xは,仕方なくこれを…