司法試験の勉強会

現役弁護士が法学部一年生向けに本気の解説をするブログです。

刑訴法解説

未必の故意とは?現役弁護士がわかりやすく解説!【刑法38条】

刑法38条では、故意と未必の故意が犯罪成立の要件とされていますが、その違いと判断基準はご存知でしょうか? この記事では、故意と未必の故意の定義や区別の方法、判例や学説の見解などを詳しく解説します。 刑法の基礎知識として、ぜひご覧ください。 故意…

検証調書(法三二一条三項)類推説とは

写真は,報告文書に代わるものとして「検証の結果を記載した書面」に準じ,撮影者を公判期日にお いて証人として尋問し,それが真正に作成されたものであることを明らかにした場合に証拠能力が認め られるとする。即ち,犯罪事実をそのまま記録したフィルム…

【刑事訴訟法】訴因の変更とは?わかりやすく解説

訴因の制度が導入された現行刑事訴訟法では,公訴の提起は,起訴状に訴因を明示して行なうことに なる(二五六条一項二項三項)が,公訴提起時に右のように起訴状に掲げられた訴因が,審理の進行とと もに明らかにされた事実とくい違いが生じた場合に,訴因に…

【刑事訴訟法】訴因の訂正とは?わかりやすく解説

訴因の訂正とは,訴因の内容に実質的影響を与えない範囲内で比較的軽微な誤りを正すことをいう。 例えば,起訴状に恐喝罪に該当する事実が記載され,罪名・罰条も同罪として記載されていながら,事 実の末尾が「騙取し」とあるのを,「喝取し」と正すことで…

【刑事訴訟法】訴因の補正とは?わかりやすく解説

訴因の補正とは,訴因の記載そのものに瑕疵がある場合に,その瑕疵を除去して完全なものとすることをいう。例えば,本来訴因は起訴状の記載自体によって特定されていなければならず(刑事訴訟法二五 六条三項),訴因の不特定な起訴状は無効であり,公訴棄却の…

訴訟条件とは?わかりやすく解説

一 総説 訴訟条件(訴訟要件)とは,公訴の有効要件をいう。 訴訟条件が欠けている場合(訴訟障害という。)は,公訴の提起が許されず(もっとも,有効な公訴の提 起のような訴訟条件はこの場合問題にならない。),公訴が存在したとしても実体的判決(有罪もしくは…

公訴事実の同一性の機能について解説

一刑事訴訟における審判の対象について学説上争われている。その主要な争点は,審判の対象は,公訴 事実か,訴因かということにある。そして,公訴事実は,審理の対象となっている犯罪行為の社会的事 実であり,訴因は,この社会的事実を整理,特定し,審理…

補強証拠とは?事例問題で解説

被告人は無免許運転及び業務上過失傷害で起訴されたが,第一回公判期日においては全面的 に事実関係を認めて争わない。しかし,業務上過失傷害についての客観的な証拠(実況見分,目撃者の供述調書等)と両罪についての司法警察員及び検察官に対する自白調書し…

刑訴法事例問題

裁判所は「被告人は,×日A方において同人所有の現金五万円を窃取した」との訴因につい て審理したうえ,「被告人は,×日窃盗の目的でA方に侵入し,同所において,同人所有の現金 五万円を窃取した」との有罪判決をした。右の有罪判決にはどのような瑕疵があ…

自由心証主義の例外とは?わかりやすく解説

(一) 刑事訴訟法三一八条は,証拠の証明力は,裁判官の自由な判断に委ねるとして,自由心証主義を宣明 しているが,この原則に対する唯一の例外は,同法三一九条二項に定めるところの,自白に補強証拠を 要求していることである。法が,このように自白に補強…

訴訟条件とは?わかりやすく解説

(一) 公訴の有効要件を訴訟条件という。訴訟条件を欠いていた場合,実体裁判をすることができず,形式 裁判で訴訟を終結させなければなくなる。さらに,訴訟条件を欠いていた場合には,実体審理も進める ことができなくなる。この意味で,訴訟条件は,実体審…

刑事訴訟法解説

甲と乙が共犯として起訴され併合審理されている場合,甲の供述を乙の証拠に用いるには,どのような方法があるか。考えられる方法を述べた上,それぞれの利害得失について説明せよ。 1 甲の公判廷における供述 (1) 併合審理のまま,共同被告人としての甲に対…

予断排除の原則とは?初心者にもわかりやすく解説

初めに 現行刑事訴訟法は,憲法上の「公平な裁判所」という理念を実現するため,「予断排除の原則」を採用した。「予断」とは,いまだ適式に証明されていない事実をあたかも証明されたように信ずることであり,この「予断」は,公訴提起から証拠調終了までの…