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【刑事訴訟法】訴因の変更とは?わかりやすく解説

 訴因の制度が導入された現行刑事訴訟法では,公訴の提起は,起訴状に訴因を明示して行なうことに なる(二五六条一項二項三項)が,公訴提起時に右のように起訴状に掲げられた訴因が,審理の進行とと もに明らかにされた事実とくい違いが生じた場合に,訴因に変更を加えることを訴因の変更という(三一 二条一項)。訴因の変更は,公訴事実の同一性の範囲内でのみ許され,また検察官の請求により裁判所が 許可をする,という形で行なわれる(同条項)。  

訴因の変更は,訴因の追加,撤回及び狭義の変更に区別される。訴因の追加とは,従来の訴因をその まま存置して新たに別の訴因をつけ加えることをいう。従来の訴因と追加された訴因との関係は,予備 的又は択一的のいずれかになることになるが,そのいずれによるかは検察官の自由である。訴因の撤回 とは,逆に,一個の公訴事実から構成される数個の訴因が記載されている場合に,その一部を審判の対 象からはずして撤去することをいう。訴因の変更(狭義)とは,訴因の内容に変更を加えることをいう。理 論的には,新訴因の追加と旧訴因の撤回とが同時になされたと解することができる。  

訴因の変更の手続は,刑事訴訟法三一二条三項四項及び刑事訴訟規則二〇九条に規定されており,原 則として書面で行なうこと,変更があった場合には裁判所は直ちに変更部分を被告人に通知すること, 変更により被告人の防禦に実質的不利益が生ずるおそれがある場合には,請求により防禦の準備に必要 な期間公判手続を停止すること,など被告人保護のための詳細な規定が置かれている。

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