民訴法解説
一 合意管轄とは当事者間の合意によって生ずる法定管轄とは異なった管轄のことである。法定管轄は専 属管轄を除くと当事者間の公平,便宜を考慮して定められている。そうすると,当事者双方がこれと異 なる管轄を望むのであればこれを許して差し支えないし,…
一 攻撃方法とは原告が訴えを理由づけるために提出する一切の申立て,主張,証拠の申出をいい,防禦 方法とは被告が訴えを排斥するために提出する一切の申立て,主張,証拠の申出をいう。 二 ところで,このような攻撃防禦方法の提出につき,民訴法はいわゆ…
一 釈明権の意義 釈明権とは,訴訟関係を明瞭にするため,事実上及び法律上の事項に関し,当事者に問いを発し,ま たは立証を促す裁判所の権能である(一二七条一項)。 なお,釈明とは当事者がなすものであって,裁判所がするのは釈明を求めること(求釈明)で…
一推定とは,認定できるある事実から,別の他の事実を推認することである。すでに説いたように,間 接事実から主要事実を推認することが,しばしば行われるところである。推定には二つのものがある。 一定の事実から他の事実を推認することが事実上行われる…
一 民事訴訟法一八六条は,裁判所が判決をするについて,当事者の申立てた事項に限定される旨定めて いる。つまり,裁判所が判決の基礎とする事実は,専ら当事者の弁論から採用されることになる。この ことを裏から言うならば,訴訟資料の提出を当事者の権能…
AがBに対し売買代金債権を有するとして,Bに代位してBの債務者Cに対し貸金返還請求 訴訟を提起したところ,右貸金債権は B の C に対する債務免除により消滅したとの理由で請求棄 却の判決を受けた。 この判決確定後,B は,右売買代金債権は A の訴訟提起時…
一問 甲は,昭和55年3月3日乙との間で甲が乙に中古貨物自動車一台を売る旨の合意をしたが, 乙が右代金を支払わないと主張して,乙に対し右売買代金八〇万円の支払を求める訴を提起した。 乙は,甲から右自動車一台を代金八〇万円で買い受けたことは認めるが…
(一) 訴訟告知とは,訴訟係属中の当事者,又はその当事者から訴訟告知を受けた者が,当該訴訟に対して 利害関係を有する第三者に対して,訴訟係属を法定の方式で通知することである。すなわち,当事者(告 知者)が,自己の訴訟に補助参加の利益を有する(当事…
(一) 口頭弁論終結時には,すでに履行すべき状態に立ち至っていない給付請求権を主張する訴えである。 従って現段階において,本案判決をすることの必要性及び実効性が問題となる。すなわち,当事者間の 紛争解決の必要及び実効がない場合は,訴えの利益が否…
一 X の Y に対する貸金返還請求訴訟において,訴訟外で,Y は,X に対し債務の履行を確約し訴の 取下を懇請したので,XY 間に訴の取下の合意が成立し,これに基づき X は,Y の同意を得て訴を 取下げた。しかし,右の合意は,Y が,真実は債務を履行する意…
一 はじめに 責問権とは,裁判所や相手方の訴訟手続に関する規定に違背する行為に対して,異議を述べてその無効を主張する,当事者の訴訟法上の権能である(民訴法一四一条)。当事者が,訴訟手続規定の違背に対して異議を述べないことを明言することを,責問…