司法試験の勉強会

現役弁護士が法学部一年生向けに本気の解説をするブログです。

2022-05-08から1日間の記事一覧

検証調書(法三二一条三項)類推説とは

写真は,報告文書に代わるものとして「検証の結果を記載した書面」に準じ,撮影者を公判期日にお いて証人として尋問し,それが真正に作成されたものであることを明らかにした場合に証拠能力が認め られるとする。即ち,犯罪事実をそのまま記録したフィルム…

訴状の必要的記載事項について解説

1 当事者及び法定代理人の表示 当事者は,当該訴訟において誰が原告とされ,被告とされるのかが特定できる程度に表示をしなけれ ばならない。通常は,氏名又は商号と,住所によって特定されている。 また,当事者が無能力者ならばその法定代理人を,法人なら…

権利行使と恐喝罪の成否について解説

一 恐喝罪は,恐喝行為(脅迫行為。暴行も含む。)により相手方を畏怖させ,他人の占有する他人の財物を 交付させ(二四九条一項),又は財産的処分行為をさせる(同条二項)ことにより成立する。そこで,権利行 使が恐喝罪を構成するか否かの問題は,他人から財物…

共犯と身分―常習賭博の幇助について解説

共犯の本質について,まず,共犯とは何を共同にするものか,という点に関し,犯罪共同説,即ち数 人が共同して特定の構成要件に該当する犯罪を行うことをいうとする説と,行為共同説,即ち数人が共 同の行為によって各自の企図する犯罪を遂行することをいう…

違法性の錯誤についてわかりやすく解説

故意が成立するためには,まず犯罪事実の認識が必要であるが,このほかに違法性の意識を必要とす るか,という点については判例,学説の大きく対立するところである。この点について,代表的な考え 方としては次の五説があげられよう。 a 違法性の意識不要説…

債権者代位権について説明せよ

債権者代位権(民法四二三条)とは,債権者が債務者に属する権利を行使する権利のことをいう。これ は,本来的には金銭債権者が債務者の責任財産を保全するための手段と考えられており,債権者が,債 務者の有する金銭債権を代位行使するような場合がこれに当…

憲法第82条について解説

一近代諸国は,密室裁判,秘密裁判がもたらした弊害にかんがみ,憲法や法律で裁判の公開を保障して いる。日本国憲法も八二条一項で「裁判の対審及び判決は,公開法廷でこれを行う。」と規定し,裁判 公開の原則を定めている。 裁判の公開を保障する理由は,…

法の下の平等の原則について解説

一(1) 憲法一四条一項は,「すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門 地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。」と規定し,「法の下の平等」の原 則を宣言している。この規定は,一面において,国…

【ゼロからはじめる法学ガチ解説シリーズ】適正手続の保障とは?わかりやすく解説

憲法(以下法名略)31条の意義 31条は,「何人も,法律の定める手続によらなければ,その生命若しくは自由を奪はれ,又はその他の刑罰を科せられない。」と規定する。この規定は,人身の自由についての基本原則を定めた規定であり,アメリカ合衆国憲法の…

【刑事訴訟法】訴因の変更とは?わかりやすく解説

訴因の制度が導入された現行刑事訴訟法では,公訴の提起は,起訴状に訴因を明示して行なうことに なる(二五六条一項二項三項)が,公訴提起時に右のように起訴状に掲げられた訴因が,審理の進行とと もに明らかにされた事実とくい違いが生じた場合に,訴因に…

【刑事訴訟法】訴因の訂正とは?わかりやすく解説

訴因の訂正とは,訴因の内容に実質的影響を与えない範囲内で比較的軽微な誤りを正すことをいう。 例えば,起訴状に恐喝罪に該当する事実が記載され,罪名・罰条も同罪として記載されていながら,事 実の末尾が「騙取し」とあるのを,「喝取し」と正すことで…

【刑事訴訟法】訴因の補正とは?わかりやすく解説

訴因の補正とは,訴因の記載そのものに瑕疵がある場合に,その瑕疵を除去して完全なものとすることをいう。例えば,本来訴因は起訴状の記載自体によって特定されていなければならず(刑事訴訟法二五 六条三項),訴因の不特定な起訴状は無効であり,公訴棄却の…

【民訴法解説】合意管轄とは?わかりやすく解説

一 合意管轄とは当事者間の合意によって生ずる法定管轄とは異なった管轄のことである。法定管轄は専 属管轄を除くと当事者間の公平,便宜を考慮して定められている。そうすると,当事者双方がこれと異 なる管轄を望むのであればこれを許して差し支えないし,…