司法試験の勉強会

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検証調書(法三二一条三項)類推説とは

 写真は,報告文書に代わるものとして「検証の結果を記載した書面」に準じ,撮影者を公判期日にお いて証人として尋問し,それが真正に作成されたものであることを明らかにした場合に証拠能力が認め られるとする。即ち,犯罪事実をそのまま記録したフィルムは,事実→観察→記憶→記憶の再生→表現 という形をとることにおいて,目撃証人の供述と類似した性格を有すること,あるいは,写真は,一定 の場所からある出来事を報告するという機能の点において,人間が言語によってその情況を報告するの と本質的に異なるところはないこと等を理由に,現場写真はまさに供述証拠であるとし,さらに写真が 科学的正確さを持つといっても,それは撮影者がいつ,どこで,どのようにして撮影したかが明らかに されることを不可欠の前提としている,として,反対尋問にさらすことを証拠能力付与の条件と解する。