司法試験の勉強会

現役弁護士が法学部一年生向けに本気の解説をするブログです。

2021-04-11から1日間の記事一覧

中止未遂の成立に必要な4つの要件とは?現役弁護士が徹底解説

中止未遂とは、犯罪を実行したものの、自分でやめた場合に成立する特別な犯罪態様です。中止未遂が認められると、刑が必ず減軽または免除されるという法律上の利益があります。しかし、中止未遂になるためには、自己の意思により犯罪を中止したことが必要で…

未必の故意とは?殺人罪を例にわかりやすく解説

責任主義 故意 意思説 表象説 故意責任の検討 認識ある過失の検討 刑法は三八条一項本文において「罪を犯す意(=故意)なき行為はこれを罰せず」とし,故意を犯罪成立の基本的要件としている。これは,ある者が違法行為を行ったとしても,その行為について行為…

売買契約とは?例題を用いて解説

第一問 XとYは,XがYにビール一〇〇ケースを売り渡す旨合意した。Xは,ビール一〇〇ケー スを仕入れ,約定の履行期に,これをY方に持参し,Yに対してその受領を促したところ,Yは, 故なく受領を拒絶し,代金も支払わなかった。そこで,Xは,仕方なくこれを…

裁判を受ける権利とは?解説

一 意義 憲法三二条は,「何人も,裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」と規定し,裁判を受ける権利を保障している。裁判を受ける権利は,何人も裁判を拒否されないということを保障するもので,その具体的な内容は次の二つである。第一に,民事及…

責任能力とは?わかりやすく解説

一 問題の所在 刑法三九条一項は,心神喪失者の行為は罰しないと定めている。即ち,刑法の非難の対象になるのは責任能力ある行為のみである。これを行為と責任能力の同時存在の原則といい,責任主義から当然に導かれる理論である。しかし例えば,酒を飲めば…

受領遅滞の意義と効果とは?わかりやすく解説

債権者が債務の内容を実現するためには,債務者の行為だけで足りる場合もあるが,債権者の協力(受 領)を要する場合も多い。後者においては,債務者が一方的にできる限りのことをしたにもかかわらず債 権者が協力しない場合,債務者の責任を軽減し,債権者に…