司法試験の勉強会

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内閣総理大臣の地位及び権限とは?答案のポイントをわかりやすく解説

一 はじめに


答案作成のポイントは,内閣総理大臣の地位については,明治憲法下における地位と日本国憲法下における地位とを対比して論述し,内閣総理大臣の権限については,憲法及び内閣法において内閣総理大臣の権限とされているものについて具体的に条文を引用しながら当該条文の趣旨及び解釈論を簡潔に論述することだと思います。以下においては解説としての性格上,多少詳しく論述しますが,答案としては以下に論述することすべてを書く必要がないのはもちろんです。


内閣総理大臣の地位


内閣総理大臣とは,行政権の主体たる内閣の首長である(六六条一項)。内閣総理大臣も,広義の国務大臣の一人であり,内閣という合議体を構成する一員である。しかし,内閣の首長とは,内部にあっては他の国務大臣の長としてこれを統率し,外部に向かっては内閣を代表する,内閣の中核的地位にある者を意味するものである。
明治憲法下にあっては,内閣も内閣総理大臣憲法上の制度ではなく,ただ勅令である内閣官制により,内閣総理大臣は「各大臣ノ首班」として,内閣の統一をはかり,それを代表する地位が認められたが,その「首班」とはいわゆる「同輩中の首席」という意味にすぎず,他の国務大臣と同格のものとされていたのである。
これに対し,日本国憲法は,内閣総理大臣をもって「内閣の首長」と定め,後述するように内閣を組織し,主宰しかつ代表する強い地位,権限を与えている。閣議にあっては発言権は対等であり,内閣総理大臣は他の国務大臣に対して命令権をもっているわけではないが,日本国憲法内閣総理大臣に強い地位,権限を与えることによって,内閣の統一性をはかり,内閣の連帯責任(六六条三項)の実をあげよ うとしたのである。
内閣総理大臣が,閣内において首長という特別に重要な地位にある結果,内閣総理大臣が欠けたときは,内閣は,総辞職しなければならないとされている(七〇条)。ここにいう内閣総理大臣が欠けたときとは,死亡したときのほか,国会議員たる資格を失い当然にその地位を失うこととなると認められる場合をも含むと解されている。


内閣総理大臣の権限


内閣総理大臣は,内閣の首長としての地位から,次のような権限を与えられている。

①他の国務大臣を任命しかつ任意に罷免すること(六八条)
明治憲法において他の国務大臣内閣総理大臣もともに天皇によって任命されたのとは異なり,日本国憲法においては,内閣総理大臣のみは,国会の指名に基づき,天皇によって任命されるが(六条一項), 他の国務大臣内閣総理大臣によって任命され,罷免されるものとされている。この任免権は内閣総理大臣の専権に属し,閣議にかけることを要しない。国務大臣の任免は天皇の認証を必要とするから(七条 五号),内閣が助言と承認を与えることになるが,事柄の性質上内閣は助言と承認を拒みえないと解されている(そもそも閣議にかける必要がないとする見解も有力である。)。この任免権こそ,内閣総理大臣が内閣の統一を確保するための有力な手段であり,その首長としての地位は,ここに最もよく現われているのである。

 ②国務大臣に対するその在任中における訴追に同意すること(七五条)
この権限は,内閣総理大臣が,検察機関による不当な圧迫から国務大臣を守り,もって内閣の一体性 と活動力の保全をはかることを可能ならしめようとしたものである。ここにいう「訴追」とは,厳密な意味での検察官の公訴の提起のみならず,本条の趣旨からみて,その前提となる逮捕,勾留などの身体の拘束をも含むと解すべきであるとする見解が有力である。同意を与えるかどうかは内閣総理大臣の裁量に属し,その適否は国会による政治的責任追求の対象となるにとどまる。同意に基づかない逮捕,勾留は違法であり,その訴追は無効となる。ただし,訴追の権利は害されないから(七五条但書),訴追に同意のない場合には公訴時効の進行は停止し,国務大臣を退職するとともに訴追可能となると解されて いる。

③内閣を代表して議案を国会に提出すること(七二条)
この「議案」の中には法律案,予算案も含まれ(内閣法五条参照),また憲法改正案も含まれると解されている。 

④内閣を代表して一般国務及び外交関係について,国会に報告すること(七二条)

⑤内閣を代表して行政各部を指揮監督すること(七二条)
この権限は,内閣が閣議によって行政の方針を定め,内閣総理大臣がその方針に基づいて行政各部を指揮監督することを意味する(内閣法六条参照)。内閣総理大臣は主任の大臣の間における権限争議を閣議にかけて裁定し(同法七条),また行政各部の処分や命令を中止させ,閣議によって処置することがで きる(同法八条)。

⑥法律及び政令に主任の国務大臣とともに連署すること(七四条)
主任の国務大臣が法律及び政令に署名するのは,法律の場合には,その執行の責任を明示し,政令の場合には,その制定及び執行の責任を明示するためであるが,内閣総理大臣は,内閣の一体性を示すためにそれらに連署することが求められているのである。

閣議を主宰すること(内閣法四条二項)
内閣総理大臣は,閣議を招集し,その議長となる。

内閣総理大臣及び主任の国務大臣の代理を指定すること(内閣法九条,一〇条)
内閣総理大臣は,内閣総理大臣または主任の国務大臣に事故のあるときまたは欠けたときにおける臨時代理を指定する権限を有する。

 

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