司法試験の勉強会

司法試験の勉強会

現役弁護士が法学部1年生や司法試験受験者向けに法律の基礎を書くブログです。ブログを続けるモチベーションになるので、1日1回ブログ村のボタンを押して頂けるとありがたいです。

国会の地位とは?わかりやすく解説

 

近代憲法における議会は,代表民主制の原理に基づき国民から公選された議員をその本質的構成要素とする合議体で,立法,財政その他重要な国家作用に決定的に参与する権能を与えられたものといえる。
即ち,主権者である国民の代表者として,統治機構における中枢の地位を与えられ,民主政治確保のための機能をいとなむと共に,国家作用の面では,立法,財政の議決を担当する部門として,行政部,司法部に対して,より根源的な地位を有するのである。
日本国憲法の下における国会も,右のような性格を有する機関であるが,憲法の諸規定に照らして, その地位は次の三点に要約されよう。

 

国民代表機関としての地位


前文一項は「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と規定する。主権者である国民は,憲法に特に定められた場合のほかは,直接に国政を行わない,という代表民主制を原則としているのである。
そして,四三条一項はこれを受けて,「両議院は,全国民を代表する選挙され た議員でこれを組織する。」と定め,両議院からなる国会が,国民代表機関であることを宣明しているのである。
ここにいう「国民の代表」とは,代表者である国会の意思が,そのまま被代表者である国民の意思とみなされるという法的効果を伴うことを意味するものではなく,いわゆる政治的代表の概念, 即ち代表者の行為が国民の意思を反映するとみなされるという,イデオロギー的性格をもつものである。

 

国権の最高機関としての地位


四一条は「国会は,国権の最高機関」であると規定する。ここに「国権の最高機関」の意味が問題となる。
①統括機関説
「最高機関」に法的意味を持たせ,明治憲法下の天皇と同様,国会は国権を統括する権能を有し,行政部,司法部に対し監督的地位に立つとする。
しかし,この見解に対しては,1三権分立制をとる現行憲法下においては,内閣,裁判所はそれぞれ行政,司法の分野の最高独立の機関であって,国会とこれらの機関が厳格な法的意味において命令-服従の関係にあるわけではないこと。2「統括機関」が国政の最高決定権者を意味するとすれば,それは国会ではなく主権者たる国民であること。3「統括機関」が明治憲法下の天皇のような統治権の総攬者を意味するとすれば,国会は明らかにそれとは異なることなどの理由から批判が強い。

②政治的美称説(現在多数説)
「最高機関」を法的意味には解せず,国政における国会の中枢的地位を政治的に強調する趣旨であるとする。即ち,国会は主権者たる国民により直接に選任される議員から成るのであり,各種の国家機関のうちで最も国民の近くにあり,国民自身に次いで高い地位にあり,国民にかわって国政全般にわたり強い発言権を有するという意味にすぎないとする。

③総合調整機能説
国会の有する憲法改正発議権,条約承認権,財政監督権,議院の国政調査権,内閣に対する総理大臣指名権,裁判所に対する弾劾裁判所設置権等々に着目し,国会が,1行政権,司法権において憲法とともに準拠する法律の制定権を独占すること及び2右のような行政,司法に関する権限を含む重要国政に決定的に参加する権限を有することからみて,これらの広汎な権限の性質は,三権の間の総合調整的作用であるとし,この見地から,その権限がいずれの国家機関に属するか不明のものは当然に国会の権限に属するものと推定されるとする。 この見解は,②説の政治的性格のほかに,国会の諸権能のもつ性質,範囲に着目して「最高機関」性に法的意味を与えようとするものである。

 

唯一の立法機関としての地位

①四一条はさらに,国会は「国の唯一の立法機関である。」と規定する。
②「立法」という言葉には二つの意味がある。一つは形式的意義の立法,即ち内容のいかんを問わず,国法の一形式としての「法律」を制定する作用であり,一つは実質的意義の立法,即ち法律,命令,規則等の形式のいかんを問わず,直接に国民を拘束し又は少なくとも国家と国民との関係を規律する成文の法規範を制定する作用である。
四一条の「立法」は後者を指す,とするのが多数説である。ただし前者と解すると,国会以外の機関,例えば内閣が国民を拘束する命令を独自に制定する権限を有するとしても,それが「法律」という名称を用いない以上,国会が唯一の立法機関だとする原則と少しも矛盾しな いことになり,四一条の趣旨が失われてしまうからである。
③国会が「国の唯一の立法機関」であることは,二つの原則をその内容とする。
(一) 国会中心立法の原則
立法権は,国会が排他的に独占し,他の機関による立法が排除されるという原則である。
この原則により,行政部による立法は,法律を執行するための執行命令と法律の委任に基づく委任命令の二つに限られる(七三条六号)。
問題となるのは委任立法の限界,即ち政令に委任するとの立法がどの程度まで許されるのかであるが,右に見てきたような趣旨からして,国会が立法権を独占するという憲法上の根本建前を否定するような程度の委任,例えば一般的,包括的な白紙委任は許されないと解すべきである。 なお,この原則の憲法自身が認める例外としては,両議院の規則制定権(五八条二項),最高裁判所の規則制定権(七七条一項)などがある。
(二) 国会単独立法の原則
国会の立法権は,それ自身完結的なものであり,他の国家機関の関与を許さないという原則である。 この原則に関して問題となるのは,法律の発案権が議員のほかに内閣にもあるかどうかという点である。
否定説は,単独立法の原則を厳格に貫こうとするのに対し,通説的見解である肯定説は,立法作用の核心は法文の確定,即ち議決であり,法案提出権を内閣に認めても国会単独立法の原則を実質的に破るものではないし,また国会と内閣の共働の理念に基づく議院内閣制の建前からしても,違憲ではないとする。