司法試験の勉強会

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衆議院の解散とは?わかりやすく解説

意義


衆議院の解散とは,衆議院議員の全部に対してその任期満了前に議員の身分を失わしめることである。 衆議院の解散は,内閣と国会の意見が対立する問題,その他重要な政治問題について,総選挙を経るこ とによって主権者たる国民の意思を問うために行われたものであるが,他面,衆議院内閣不信任決議に対応する手段として,内閣と国会との権力の抑制と均衡を計る機能をも果たすものである。


形式的解散権


衆議院の解散を行いうる権能(解散権)については,実際に解散を決定する権能(実質的解散権または解散決定権)と,右の決定に基づき解散する旨を外部に宣示する権能(形式的解散権または解散宣示権)とを区別することができる。 憲法七条三号は衆議院の解散は内閣の助言と承認により天皇によって行われるものと規定しているが, 国政に関する権能を有しない(憲法四条一項)天皇が有するのは形式的解散権のみである。


実質的解散権の所在


実質的解散権の所在については,内閣にのみ属するとする見解(他律的解散のみを認める見解)と,衆議院自らの議決による「自律的解散」をも認める見解とが対立している。 多数の見解は自律的解散の可能性を否定している。
その理由としては,1憲法が「解散され」(五四条, 六九条)という受け身の表現を用いていること,2多数決によって憲法上の衆議院議員の任期を短縮するには特にそのことを認める憲法上の明文規定がなければならないこと,3自律的解散を認める見解は 「国会の最高機関性」を根拠としているが,それならば,参議院にも解散が認められることになってしまうことなどを挙げている。


実質的解散権の所在,解散が行われる場合


実質的解散権が内閣にのみ属するとする見解の中でも憲法上どの規定に根拠を求めるかについて,解散が行われる場合とも関連させて見解が分かれている。

a 六九条説
憲法六九条により,衆議院内閣不信任決議案が可決されたとき,または内閣信任決議案が否決されたときに限り,内閣が衆議院の解散を決定しうるとする見解。解散の根拠を定める規定は憲法六九条の外に存しないことを理由とする。 衆議院の解散が行われる場合を六九条に規定する場合に限定する見解に対して,多数の見解は,1六九条に規定する場合の外にも,内閣と国会の意見が対立する問題,その他,憲法改正,条約締結など重要な政治問題が生じた場合には,衆議院の解散によって,主権者たる国民の意思を問うべき必要があること,2六九条はもともと内閣の総辞職について規定したものであって,それに関連して解散が行われる特定の場合を予想しているにすぎないもので,解散が行われる場合を限定するものではないことなど を理由として,衆議院の解散は,六九条に規定する場合に限定されないと解している。このように解する見解の中でもさらに憲法上どの規定に根拠を求めるかについて見解が分かれている(なお,自律的解散 を認める見解も解散が行われる場合を六九条に規定する場合に限定しない)。

b 七条説
憲法七条により,内閣は,天皇の形式的解散行為に対する助言と承認を行う際,その前提として解散を実質的に決定できるとする見解。

c 六五条説
国家作用は,立法,司法,行政の三種に分類され,行政とは国家作用から司法と立法を除いた残余であるところ,衆議院の解散は立法でも司法でもないから,憲法六五条の行政作用として内閣の権能に属するとする見解。

d 制度説
憲法には,実質的解散権の帰属を明示する規定は存しないが,自律的解散権の不採用,権力分立制と議院内閣制の採用,国政に関する天皇の権能の否定等憲法の全制度の趣旨から判断して,実質的解散権は内閣に属するとする見解。
以上の見解のうち,七条説が一応通説であると思われる。六五条説に対しては,衆議院の解散という国家作用の重要性に鑑み,実質的解散権の所在について立法でも司法でもないから行政作用として内閣の権能に属するとするのは安易に失するという批判がなされている。制度説に対しては,憲法が議院内閣制を採用していることをその根拠として挙げているが,そもそも,内閣が第一院の信任に依拠するとともに第一院の解散権をもつことが議院内閣制であるというべきなのに,逆に,議院内閣制を採用して いることを前提として内閣の解散権を帰結するのはやや循環論法のきらいがあるという批判がなされて いる。


解散が行われる時期


解散が行われる時期については特別の規定はない。憲法五四条二項は単に国会が開会中に行われた場合のことを定めたにすぎないと解され,理論的には閉会中でも可能であると解されている。 なお,解散後はじめて国会が召集されるまでの間及び内閣総辞職後新内閣総理大臣が任命されるまで の間は解散できないものと解されている。


解散の効果


衆議院の解散によって,衆議院議員全員は任期満了前にその資格を喪失せしめられる。 会期中に衆議院が解散されると参議院は同時に閉会となる(憲法五四条二項)。解散後は,解散の日か ら四〇日以内に衆議院議員の総選挙が行われ,その選挙の日から三〇日以内に国会(特別会)が召集され (憲法五四条一項),右国会が召集されると内閣は総辞職をしなければならない(憲法七〇条)。

 

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