司法試験の勉強会

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参政権とは?わかりやすく解説

参政権とは,広義では,国民が国法の定立その他の国家の統治活動に直接または間接に参与しうる権利をいう。

その法的性質は,国民主権の原理から導かれる権利であり,国民が国家権力に参加するとい う能動的性質の権利である。

 

日本国憲法は,前文で「国政は,国民の厳粛な信託によるものであって,その権威は国民に由来し, その権力は国民の代表者がこれを行使」すると謳い,国民をもってすべての国家権力の究極の淵源であるとする国民主権の原理を宣言しているが,国民が国家権力の究極の淵源である以上,その国民が国家の統治活動に参与しうるのは当然である。

そのことはまた,国家の統治意思と,統治される国民各自の意思とを一致させ,統治する者と統治される者との間に「自同性」をもたせようとする民主制(民主主義) の原理からも導びかれることである。

 

日本国憲法には,国民がその主権者としての地位に基づき,種々の形態で国家活動に参加することを保障する規定が存在する。条文順に列挙すると,

1公務員の選定罷免権(一五条一項)

2請願権(一六条)

3 国会議員の選挙権(四三条一項)

4最高裁判所裁判官に対する国民審査権(七九条二項)

5地方公共団体の長と議会の議員の選挙権(九三条二項)

6地方自治特別法に対する住民投票権(九五条)

7憲法改正に対する 国民投票権(九六条)

が挙げられる。

 

4ところで,憲法前文は,同時に「日本国民は,正当に選挙された国会における代表者を通じて行動」 すると謳い,国民の公選にかかる議員を全部または少なくとも一部の構成分子とする合議体としての議会が,主権者たる国民に代わって,国家の統治活動を行使するとする代表民主制(または間接民主制)を採用することを宣言している。

前記に掲げた参政権を,その参加形態から,直接参政権(直接民主主義的 参加形態)と間接参政権(代表民主主義的参加形態)とに分ければ,前者には2467があたり,後者には 35があたるところ,先にに述べた代表民主制の下では,国民の参政権を実現するのは,選挙による公務員の選定に関与する,というのが普通の形態となる。

言い換えればすれば,我が国においては,直接参政権は補完的形態であり,間接参政権が原則的形態ということになる。

このような観点から,参政権とは,狭義ではこの選挙権を意味する。


5選挙権(狭義の参政権)とは,選挙人団を構成する一員,即ち選挙人として選挙に参加することができる資格または地位をいう。

選挙とは,選挙人団を構成する国民の多数人が,その協同行為によって公務員を選定する行為といえよう。

この選挙権の性質については,個人的権利説,即ち自然法に基づく個人の生まれながらの,かつ不可譲の権利であるとする見解や,公務説,即ち選挙人団の一員として集団的 に行なわれる公的な職務であるとする見解があるが,むしろこれを両面からとらえる二元説,即ち個人の権利であり,同時に社会的職務であると解するのが妥当であると考える。

その理由は,上に見てきたように,憲法は一方で,選挙権を自然法的要請に基づく基本的人権の一つと宣言し(前文,一五条一項三 項),他方,代表民主制の原理を採用し議員の身分を国民の選挙にかからしめている(前文,四三条一項) のであって,即ち,選挙権は,国家の活動に参与する地位,参政の権利という意味では権利であるが, 選挙人団という機関を構成し公務員の選定という公務に参加するという意味では義務ともいえる。

結局, 選挙権は,全ての人に人たるがゆえに当然に与えられる純粋に超国家的な基本権ではなく,国家の機関受託者としての法的地位ともいうべき一定の資格を持った国民にのみ与えられる国家法上の基本権であると考えるのが妥当である。

このような理由から,二元説が妥当であると考える。

選挙権に関する憲法上の原則としては,次の四点があげられる。

1普通選挙(一五条三項)

2平等選挙(一四条一項)

3秘密選挙(一五条四項)

4選挙人の無答責(一五条四項)

である。

このうち,2の平等選挙について,近時,最高裁判所は,「一四条一項に定める法の下の平等は,選挙権に関しては,国民はすべて政治的価値において平等であるべきだとする徹底した平等化を志向するもので,単に選挙人資 格の平等にとどまらず,選挙権の内容即ち各選挙人の投票の価値の平等もまた,憲法の要求するところ だと解するのが相当である」旨判示(最判昭五一・四・一四,民集三〇・三・二二三)し,投票の数ばか りでなく投票の価値の平等も憲法上要請されているとの解釈を明らかにした。


6なお,選挙権に関連して,被選挙権が問題となる。

これは,選挙人団の選任行為により議員となり得る資格要件ないしは権利能力であって権利性は認められない,と解すべきである。

しかし権利性が認められないからといって,その制限が無制限に許されるというものではない。

被選挙権の保障の根拠としては,次のような点が考えられる。

即ち,第一に,五で述べた権利としての選挙権を実質的に保 障するためには,選択の余地を広く認めるべきであるという理由,第二に,二で述べた国民主権の観点から同質性(自同性)を保つためには被選挙権をあまり制限しないことが望ましいという理由,そして第三に,平等原則(一四条一項)に違反するような被選挙権の制限は許されないという理由などである。