司法試験の勉強会

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司法権の独立とは?わかりやすく解説

司法権の独立の意義


司法権の独立という場合は,1司法府が他の権力(立法,行政)から独立して自主的に活動できること (司法府の独立)と,2裁判官が裁判を行うに際して,完全に独立して職権を行使できること(裁判官の独立)の二つを意味するが,一般には,2が中心的なものと考えられている。
司法権の独立の趣旨は,裁判が厳格,公正に行われるのを確保することにあり,日本国憲法も,「す べて裁判官は,その良心に従ひ独立してその職権を行ひ,この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定めている(七六条三項)。
すなわち,裁判官を拘束するのは法だけであり,裁判官の職権行使にあっては, いかなる指揮命令も受けないのである。


二 裁判官の「良心」


七六条三項の「良心」の意味については学説上争いがあるが,大別すれば,(一)裁判官個人の主観的良心とする説と,(二)裁判官が適用する法のうちに存在する客観的良心とする説に分けられる。(一)説に立つと裁判が区々にわたることになるという批判がなされており,(二)説の立場が通説である。(二)説によれば, 裁判官は,あくまで法の客観的原理を探求し,そこから帰結されるところに従って裁判をすることにな る。そうすると,結局裁判官は「憲法及び法律にのみ拘束される」のであって,「良心に従ひ」の文言には特別の意味はなくなる。

 

司法権の独立の内容


司法権の独立(裁判官の独立)の内容を具体的に検討する場合は,独立を脅かす要因として,1立法権, 2行政権,3司法権内部のそれぞれについて考える必要がある。

1 立法権
国会の国政調査権(六二条)との関係で問題となるが,国会が裁判所に係属中の事件につき裁判手続自体を調査することや裁判の内容の当否につきその批判を目的として調査することなどは,司法権の独立の侵害となる。また,判決が確定した事件であっても,再審に類するような形で調査することは許されないと考えられる。なぜなら,このような調査は将来の事件における裁判に事実上の影響を与える可能性があるからである。

2 行政権
明治憲法下のように,裁判官が行政権(司法大臣)の監督に服するときは,司法権の独立が侵害されやすいので,現行制度では,最高裁判所が司法行政の最高監督機関となっている(裁判所法八〇条)。 また,行政権からの独立という点では,行政事件訴訟法における内閣総理大臣の異議申述の制度(行訴 法二七条)が問題となる。すなわち内閣総理大臣からの異議があれば,裁判所は行政処分の執行停止をすることができず,また,すでに執行停止しているときはそれを取消さなければならないという制度が司法権の独立を侵害するのではないかという問題である。しかし,裁判所による執行停止の決定(行訴法二 五条)は裁判ではなく,実質的には行政処分であるから,最終的決定権は内閣総理大臣にあるとしても違憲ではないとするのが多数説である。

3 司法権内部
裁判官の独立は,当然他の裁判官の命令にも服しないということを意味する。2で述べたように,裁判所法八〇条は,司法行政監督権について定めるが,それに続く同法八一条は,司法行政監督権が「裁判官の裁判権に影響を及ぼし,又はこれを制限することはない」とことわっている。 なお,司法権の独立に関連して,一般の国民やマスコミによる裁判批判も問題となるが,それらの裁判批判が健全である限りは言論の自由の一環として認められるべきであろう。


四 裁判官の身分保障


このような司法権の独立(裁判官の独立)を確保するためには,裁判官の身分の保障が必要である。日本国憲法は七八条で,1裁判官の罷免事由の限定(執務不能の裁判による場合と公の弾劾による場合)及び,2行政機関による懲戒の禁止を定めている。
これらは裁判官の身分が行政府などにより政治的に決定されることを防ぐという趣旨に基づくものである。
なお,裁判官の罷免事由が裁判の内容評価にわたるものであってはならないことは当然である(裁判官弾劾法二条)。
また,裁判官の身分保障の制度として,報酬の保障と在任中の減額の禁止や,その意に反した裁判官の転所,転官,職務の停止等の禁止が定められている(憲法七九条六項,八〇条二項,裁判所法四八条)。
更に,裁判官の独立や身分保障の趣旨を徹底するためのものとして,憲法最高裁判所下級裁判所裁判官の指名権や,訴訟に関する手続,弁護士・裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項についての規則制定権が定められている(八〇条一項,七七条一項)。これらの権限が他の権力に与えられて裁判官の行動に対し,何らかの支配のおそれが生ずるのを防ぐ趣旨に基づくものと考えられる。

 

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