司法試験の勉強会

現役弁護士が法学部一年生向けに本気の解説をするブログです。

居住・移転の自由について論ぜよ

憲法二二条一項は,「何人も,公共の福祉に反しない限り,居住,移転......の自由を有する。」と規定 する。「居住の自由」とは,住所または居所を決定する自由であり,「移転の自由」とは,住所または居 所を変更する自由である。後者は旅行の自由を含むと…

最高裁判所の5つの権能とは?わかりやすく解説

最高裁判所の権能として以下の5つが上げられる 1 一般裁判権 2 規則制定権 3 法令審査権 4 下級裁判所の裁判官指名権 5 司法行政監督権 1 一般裁判権 最高裁判所も裁判所の一つとして一般裁判権を有する(憲法七六条一項)が,特別裁判所や行政機関に よる終審…

正当防衛と緊急避難の共通点及び相違点について

正当防衛(刑法三六条一項)とは,簡単に言うと,犯罪構成要件に該当するが,急迫不正の侵害に対し,自己または第三者の権利を守るためにやむを得ずなした行為であり,緊急避難(刑法三七条一項本 文)とは,犯罪構成要件に該当するが,自己または第三者の生命・…

正当防衛と緊急避難の共通点及び相違点について

正当防衛(刑法三六条一項)とは,簡単に言うと,犯罪構成要件に該当するが,急迫不正の侵害に対し,自己または第三者の権利を守るためにやむを得ずなした行為であり,緊急避難(刑法三七条一項本 文)とは,犯罪構成要件に該当するが,自己または第三者の生命・…

正当防衛と緊急避難の共通点及び相違点について

正当防衛(刑法三六条一項)とは,簡単に言うと,犯罪構成要件に該当するが,急迫不正の侵害に対し,自己または第三者の権利を守るためにやむを得ずなした行為であり,緊急避難(刑法三七条一項本 文)とは,犯罪構成要件に該当するが,自己または第三者の生命・…

正当防衛と緊急避難の共通点及び相違点について

正当防衛(刑法三六条一項)とは,簡単に言うと,犯罪構成要件に該当するが,急迫不正の侵害に対し,自己または第三者の権利を守るためにやむを得ずなした行為であり,緊急避難(刑法三七条一項本 文)とは,犯罪構成要件に該当するが,自己または第三者の生命・…

訴訟条件とは?わかりやすく解説

一 総説 訴訟条件(訴訟要件)とは,公訴の有効要件をいう。 訴訟条件が欠けている場合(訴訟障害という。)は,公訴の提起が許されず(もっとも,有効な公訴の提 起のような訴訟条件はこの場合問題にならない。),公訴が存在したとしても実体的判決(有罪もしくは…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】量的過剰防衛とは?わかりやすく解説【刑法】

甲は,知人であるAから罵られたため,言い返したところ,Aは,甲にむかって手を振り上げた。次の場合における甲の刑事責任(特別法違反の点は除く。)を論ぜよ。甲は,Aから暴行を受け,これに対応するためにAの顔面を手拳で殴打した。Aは甲から殴打さ…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】共同正犯とは?事例問題で答案の書き方も併せて解説

甲と乙は,かねてから恨みを抱いていたAに乱暴しようと相談して,言葉巧みに誘い出したAに対し,二人で一緒に殴るけるの暴行を加えた。暴行を加えているうちに,乙は,かねてからのAに対する恨みが高じて,暴行の結果Aが死ぬことがあるかもしれないがそ…

釈明権についてわかりやすく解説

一 釈明権の意義 釈明権とは,訴訟関係を明瞭にするため,事実上及び法律上の事項に関し,当事者に問いを発し,ま たは立証を促す裁判所の権能である(一二七条一項)。 なお,釈明とは当事者がなすものであって,裁判所がするのは釈明を求めること(求釈明)で…

事例問題でわかる窃盗と詐欺

甲は,友人Aから,こん包した段ボール箱を,「この中には,俺の大事にしている古文書 が入っているが,一週間保管してくれ。」と言われて預かった。甲は,預かって三日目になり,古 文書なら売ればもうかると思い,段ボール箱をそのまま,古本屋に持ち込み,…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】正当防衛について事例問題を交えてわかりやすく解説【刑法】

乙は,友人の甲をびっくりさせようと思って暗がりから飛び出したところ,甲は,暴漢が襲って来たものと思い,自分の身を守ろうとして所持していたステッキを乙めがけて投げ付けた。ところが,ステッキは乙に当たらず,ちょうど乙の後方から歩いて来た丙の目…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】予算に関する国会の権能について【憲法】

問:予算に関する国会の権能について論ぜよ 第1 はじめに 1 統治機構の概説 ⑴ 統治機構の基本原理 近代憲法は,権利宣言と統治機構の二つの部分から成り,統治機構の基本原理は国民主権と権力分立である。 国民主権の原理には,国の政治の在り方を最終的に決…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】同時履行の抗弁権についてわかりやすく解説

一 緒論 このように,制度やある概念について一般的に述べよと問う問題では,関連することがいくらでもあ るので,何をどれだけ書くかの取捨選択に悩まれると思う。そこで,書くべきことを選ぶための視点を 考えながら解説を試みたい。 まず書くべきこととし…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】因果関係とは?事例問題を挙げててわかりやすく解説【刑法】

甲は,深夜,散歩をしていた際,女性の叫び声が聞こえたので,声のした方に近づいたところ,女性のBがぐったりした様子でシャッターを背にして立っており,その前に若い男AがBの両肩に手をかけて立っていた。そのため,甲は,AがBを強姦しようとしてい…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】表現の手段・態様を規制する立法の違憲審査基準についてわかりやすく解説【憲法】

表現の手段・態様を規制する立法の違憲審査基準について論ぜよ 第1 はじめに 今回は,憲法ガチ解説シリーズの初回なので,まず,憲法全般に関する概括的な説明を行い,その後,設問の解説を行う。 1 憲法の意義について 形式的意味における憲法とは,憲法…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】代理と意思表示の瑕疵について事例問題を使い解説【民法】

Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】代理と意思表示の瑕疵について事例問題を使い解説【民法】

Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】代理と意思表示の瑕疵について事例問題を使い解説【民法】

Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】代理と意思表示の瑕疵について事例問題を使い解説【民法】

Aは,Bから金員を借り受ける際,A所有の甲土地を担保に供し,Bに対し,抵当権設定 登記手続の代理権を授与した。ところが,Bは,抵当権設定登記手続を済ませた後,Aの代理人 であると称して,Cに対し,甲土地を売却した。Cが甲土地を買い受けたのは,甲土地…

【ゼロから始める法学ガチ解説シリーズ】正当防衛と誤想防衛についてわかりやすく解説

甲は,知人であるAから罵られたため,言い返したところ,Aは,甲にむかって手を振り上げた。次の各場合における甲の刑事責任(特別法違反の点は除く。)を論ぜよ(各場合は独立したものとする。)。⑴ Aがそのまま殴りかかってきたため,甲はその場を一旦…

財産権の公共福祉による制約についてわかりやすく解説

一 憲法二九条は,一項で「財産権は,これを侵してはならない」,二項で「財産権の内容は,公共の福 祉に適合するやうに,法律でこれを定める」と規定する。この一項と二項の関係は,簡単そうでいて, 実に困難な問題を含んでいる。本問でも,まず,この一項…

日本国憲法における司法権についてわかりやすく解説

①日本国憲法は,その七六条一項において「すべて司法権は,最高裁判所及び法律の定めるところによ り設置する下級裁判所に属する」旨規定するが,司法権自体の意義については何ら記述するところがな い。また,司法権を,文字どおり,国家の司法作用を行う権…

権利能力とは?わかりやすく解説

権利能力 定義 権利能力の始期 権利能力 定義 私法上の権利及び義務の帰属主体となりうる地位または資格を権利能力と言う。したがって,権利能力は同時に義務能力でもある。 「私権の享有は出生に始まる」という規定(一条の三)は,自然人は出生によって当然…

公訴事実の同一性の機能について解説

一刑事訴訟における審判の対象について学説上争われている。その主要な争点は,審判の対象は,公訴 事実か,訴因かということにある。そして,公訴事実は,審理の対象となっている犯罪行為の社会的事 実であり,訴因は,この社会的事実を整理,特定し,審理…

補強証拠とは?事例問題で解説

被告人は無免許運転及び業務上過失傷害で起訴されたが,第一回公判期日においては全面的 に事実関係を認めて争わない。しかし,業務上過失傷害についての客観的な証拠(実況見分,目撃者の供述調書等)と両罪についての司法警察員及び検察官に対する自白調書し…

事実上の推定とは?わかりやすく解説【民訴法】

一推定とは,認定できるある事実から,別の他の事実を推認することである。すでに説いたように,間 接事実から主要事実を推認することが,しばしば行われるところである。推定には二つのものがある。 一定の事実から他の事実を推認することが事実上行われる…

主要事実とは?わかりやすく解説【民事執行法】

一 民事訴訟法一八六条は,裁判所が判決をするについて,当事者の申立てた事項に限定される旨定めて いる。つまり,裁判所が判決の基礎とする事実は,専ら当事者の弁論から採用されることになる。この ことを裏から言うならば,訴訟資料の提出を当事者の権能…

貸金返還請求権について解説

AがBに対し売買代金債権を有するとして,Bに代位してBの債務者Cに対し貸金返還請求 訴訟を提起したところ,右貸金債権は B の C に対する債務免除により消滅したとの理由で請求棄 却の判決を受けた。 この判決確定後,B は,右売買代金債権は A の訴訟提起時…

過失犯の共同正犯とは?わかりやすく解説

一 共同正犯の本質は,共同正犯者が相互に犯罪実行の意思を共同にし,犯罪を実現することにあるのだ が,共同正犯者がどのような場合に,共同して犯罪を実現したというかについては対立がある。構成要 件による定型性を重視する客観説の立場は,共同正犯者が…